マイナーだけどかっこいい『飛花落葉』という四字熟語

そろそろ温かいところでは、桜も散り始めている頃なのでしょうか。

うちの近所ではまだ桜が満開ではありません…。

やっと暖かくなってきて、桜のシーズンがやってきたと思いきや、すぐにまた散ってしまう…。
春の中でも短いシーズンですが、きっとこれが春の間ずっとなんてことになったら桜の有り難みも薄れてしまうでしょう。

今回の言葉は『飛花落葉』。
読み方は「ひからくよう」。

数多くある「儚さ」を表現する四字熟語の内の一つです。

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四字熟語『飛花落葉』の意味

飛び散る花と散り敷く落ち葉、転じて、はかないことのたとえ。

情景が想像しやすい四字熟語ですね。
「飛び散る花に落ちる葉」と、読んで字の如く。

昔の人は季節・時間・花など、移りゆくものに儚さを見出しました。
今もなおそうした感性は変わらないと思うと、どこか感慨深いものがあります。

意味や由来はこちらの本を参考にしています。

四字熟語『飛花落葉』の由来

出典は平安時代末期の平康頼『宝物集 上』より。

飛花落葉を観じて生死無常をば覚(さと)り侍りけれ

平康頼は平清盛討伐のはかりごとがもれて島流しにあった人で、この言葉が出たのも理由がないわけではない。
と、解説されています。

また、耳慣れない「飛花」という言葉にも由来があります。

出典は唐の徳宗(とくそう)に仕えた韓翃(かんこう)の「寒食」の詩から。

春城(しゅんじょう)処として飛花ならざるは無し
寒食東風御柳(ぎょりゅう)斜めなり

「寒食」は、冬至後百五日目、陽暦で四月三日か四日に当たる前後三日間をいう。
この季節になると落花が舞い飛んで、そよ吹く東風(こち)にお堀の柳が斜めになびいている、というのである。

「飛花」も「落葉」も「花が散る」と「葉が落ちる」で儚さを表現していますよね。
「飛花落葉」は似た意味の熟語を合わせて意味を強調する典型的な四字熟語です。

メジャーな四字熟語ではないけれど

個人的にはあまりメジャーな四字熟語ではないかなと思います。

ですが、「飛花落葉」という四字熟語自体の響きや字面のかっこよさと、情景から「儚さ」を表現した意味は非常にきれいです。
もっと世間的に認知されると嬉しいですね。

メジャーではないと言っても、我らが文豪の語彙の豊富さを侮ってはいけません。
いつもの夏目漱石先生から例文をお借りしてきましょう。

今回は『吾輩は猫である』から。

冷笑なさってはいけません、極真面目な話しなんですから……とにかくあの婦人が急にそんな病気になった事を考えると、実に飛花落葉の感慨で胸が一杯になって、総身の活気が一度にストライキを起したように元気がにわかに滅入ってしまいまして、ただ蹌々(そうそう)として踉々(ろうろう)という形で吾妻橋(あずまばし)へきかかったのです。

前後がないとイメージしづらいかもしれませんが、前後も結構長いセリフなので…笑

小学校や中学校で推薦図書とかになっているはずなので、読んだ方も多いかもしれません。
そういう方にとっては「飛花落葉」くらい知ってるよってところでしょうか。

むしろ僕はこの作品以外でこの言葉が使われているところを見たことがありません。
それくらいマイナーだと思うのですが、良い言葉なのでぜひ覚えてみて下さい。