小説の例文で語彙力をつけよう!谷崎潤一郎『少年』から抜粋

日々新しい言葉が生まれてくるくらい自由度の高い日本語ですが、たまには新しい言葉だけでなく、昔から使われている難しい言葉も覚えてみませんか?

というわけで、今回は小説の例文から語彙力をつけるという自分が得する記事の第二弾。
前回からだいぶ間が開いてしまいましたね。

あまり需要はなさそうですが、個人的には続けていきたいシリーズだったりします…笑

スポンサーリンク

今回の作品『少年』

今回の作品もエグい短編集に収録されています。

サブカル女子が大好きな一冊ですね…笑

そしてかなりお手頃価格な一冊です。

そもそも谷崎潤一郎と聞いた時点で、あの変態じいさんかと思った人も多いはず。
でも文豪としては当たり前ですが評価するのも畏れ多いような人物です。

変態性ばかり取り上げられますが、探偵小説も書いていたりして、意外と幅広い作風です。

…今回は違いますけどね。

ネタバレなしなので、本を読む前の予習にもどうぞ。

谷崎潤一郎『少年』に登場する語彙(単語)

きゃらこ

意味:インド産の綿布のこと。英語でcalico

糸織の筒袖に博多の献上の帯を締め、黄八丈の羽織を着てきゃらこの白足袋に雪駄を穿いた様子が、色の白い瓜実顔の面立ちと似合って、今更品位に打たれたように、私はうっとりしてしまった。(10p)

銀鼠色(ぎんねずいろ)

意味:銀色に近い青みを含んだ明るめの灰色。

前を通るとこんもりした邸内の植込みの青葉の隙から破風型の日本館の瓦が銀鼠色に輝き、そのうしろに西洋館の褪紅緋色の煉瓦がちらちら見えて、いかにも物持の住むらしい、奥床しい構えであった。(12p)

褪紅緋色(たいこうひいろ)

意味:あせた紅色。色の薄くなった紅色。

前を通るとこんもりした邸内の植込みの青葉の隙から破風型の日本館の瓦が銀鼠色に輝き、そのうしろに西洋館の褪紅緋色の煉瓦がちらちら見えて、いかにも物持の住むらしい、奥床しい構えであった。(12p)

毛氈(もうせん)

意味:織物のように加工された獣毛。敷物として使われる。

多勢の子供達は毛氈のような青草の上を蹈んで、のどかな暖かい日の下に遊んでいる。(13p)

当意即妙(とういそくみょう)

意味:場に即座に適応して機転をきかせること。そのさま。

緞帳芝居か覗き機巧(からくり)で聞いて来るものとみえて、いかにも当意即妙の返答である。(24p)

知死期(ちしご)

意味:死ぬ瞬間。死に際。末期。

遂に喉笛を喰い切られて、キャッと知死期の悲鳴を最後に、手足の指をぶるぶるとわななかせ、虚空を掴んでバッタリ倒れてしまった。(27p)

三尺四方(さんしゃくしほう,さんじゃくしほう)

意味:一尺=30.3cmであるため、縦横三尺(90.9cm)の四角形のこと。一尺四方なら30.3cmの四角形。

半ば燃え尽きて蝋がとろとろ流れ出している手燭が、三尺四方へ覚束ない光を投げていたが、私と一緒に外から空気が流れ込むと、炎がゆらゆらと瞬いて、ワニス塗りの欄干の影がぶるぶる動揺している。(52p)

寂寞(せきばく)

意味1:ひっそりと寂しく静かなさま。
意味2:心にぽっかり穴が開いて物寂しいさま。
(「じゃくまく」という読み方もある。)

「光ちゃん」と呼んでみようとしても死滅したような四方(あたり)の寂寞が唇を圧し、舌を強張らせて声を発する勇気もない。(53p)

鑽火(きりび)

意味1:木材に棒を回して起こる摩擦熱によって発生する火。
意味2:火打ち石を使って発生させる火。

「さあ、あかりを付けて仙吉に会わせてあげようね」
ピシッと鑽火を打つように火花が散って、光子の手から蝋燐寸(マッチ)が燃え上ると、やがて部屋の中程にある燭台に火が移された。(58p)

潺湲(せんかん)

意味1:さらさらと水が流れていくさま。
意味2:涙がとめどなく流れていくさま。

銀盤の上を玉あられの走るような、渓間(たにま)の清水が潺湲と苔の上をしたたるような不思議な響きは別世界の物の音のように私の耳に聞えて来る。(61p)

あとがき

短篇なので前回に比べるとだいぶ短く済みました。

それでも短い作品の中にこれだけ難しい単語が入っているのは、さすが文学作品といったところ。
画像が必要な単語が多かったので訳の分からない商品を宣伝するような記事になってしまいましたが、わかりやすさ重視ということで…笑